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TSAI MENG CHIEH 

波佐見町

(レポート1)

 日本の長崎県にある「波佐見町」は、400年の歴史を持つ日用陶器の産地です。波佐見焼の歴史は17世紀初頭(約1600年)に始まりました。当時、波佐見地域で陶磁器の製造に適した良質な粘土が発見されました。地元の陶工たちは陶器の生産を開始し、徐々に陶磁器の製造技術を習得していきました。同時に、波佐見焼の生産量も増加し、地域の重要な経済的支柱となりました。

 波佐見焼は発展初期に大村藩(当時の地方領主)から大きな支援を受けました。大村藩は地元の陶工たちに対し、日常で使われる陶磁器の生産を奨励し、資金援助も行い、地域の住民や遠方の市場の需要に応えました。そのため、波佐見焼は江戸時代に急速に発展し、日本各地の日常生活で広く使われる陶磁器となりました。




波佐見焼で最も有名な製品の一つに「くらわんか碗(くらわんかわん)」があります。この碗は江戸時代に大阪の淀川を行き来する船に供給されていた、安価で耐久性のある食器です。これらの碗は実用性と耐久性で知られ、日本の庶民の間で急速に普及し、当時の庶民生活において重要な器具の一つとなりました。

波佐見焼の工場を見学しました。




波佐見焼の工場見学

 小林社長自らが私たちを工場の内部へ案内してくださり、これはとてもわくわくして忘れられない旅となりました。工場に足を踏み入れた瞬間、目の前にはこれまで見たことのない様々な機械が動き続けており、その生命力を感じさせました。


 これらの機械と相まって、職人たちは集中し熟練した技で一つひとつの陶器を丁寧に作り上げています。彼らが慎重に陶器に色を付け、生き生きとした芸術作品へと仕上げる様子を見て、職人の精神に心から感動しました。


 細部の一つひとつ、工程のすべてに職人たちの努力と知恵が込められており、その手はまるで陶器に命を吹き込むかのようで、平凡な陶器に温かみを与えています。この過程は単なる技術の披露にとどまらず、伝統と匠の心を守り続ける証でもあります。



手作りの窯焼きピザ

 昼食時には、自分たちでピザを手作りしました。生地のこねから具材のカットまで、すべて自分たちの手で行いました。台湾でピザを作った経験があったため、今回の活動は特に慣れ親しんだもので、一つ一つの工程が楽しく感じられました。ピザが形になり、具材がたっぷりのせられたところで、畑中先生が窯に入れるのを手伝ってくださいました。わずか3分で、生の生地が黄金色でサクサクのピザに焼きあがりました。焼きあがったピザを窯から取り出した瞬間、香ばしい香りが鼻をくすぐり、食欲をそそられました。


 自分で作ったピザを味わいながら、私たちは畑中先生と楽しく交流し、お互いの食への愛情を分かち合いました。



 このような体験は、味覚を満たすだけでなく、心の喜びにもなりました。自分の手で作る過程に没頭し、満足感を味わうことがどれほど素晴らしいかを実感しました。今回の昼食は、ただの食事ではなく、特別で忘れられない思い出となりました。



 日本での初めての手ろくろ体験は、私にとって新鮮で楽しい経験でした。小学校1年生の時に台湾で一度陶芸体験をしたことがありますが、日本での体験とは少し違いを感じました。

 今回、私はお皿作りに挑戦しました。先生から、お皿作りは最も難しいと聞いて少し緊張しました。なぜなら、お皿は平らさを保ちながら、一定の深さと曲線を持たせなければならないからです。先生は丁寧に一つ一つの工程を教えてくれました。ろくろの力加減や成形時の手の動かし方など、細かなポイントを学ぶことができました。

先生の指導のもと、慎重に作業を進め、最終的にまずまずの形のお皿を完成させることができました。自分の手で形作ったお皿を見た時、達成感が溢れ、その土が新たな命を得たように感じました。この手ろくろ体験を通じて、陶芸の魅力と職人の精神の尊さを改めて実感しました。




(レポート2)

 波佐見歴史文化交流館朝早、私たちは波佐見歴史文化交流館を訪れました。ここは日本の伝統的な和風建築を改装した博物館で、初めて入る場所に胸が高鳴り、期待でいっぱいでした。館内は昔ながらの和風建築の趣を残しつつ、現代的な博物館としての展示機能が融合されており、独特な雰囲気を醸し出していました。

 小林社長の説明によると、この博物館の建物はもともと高橋社長の住宅だったそうです。歴史と物語が詰まったこの建物を見学できることに、とても特別な感覚を覚えました。見学が進むにつれて、先生の細やかな解説と館内の壁に掲示された詳しい説明や展示物が相まって、まるでその時代にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。

 今回の見学は単なる歴史の振り返りだけでなく、文化に深く浸る貴重な体験でもありました。この特別な博物館を通じて、波佐見焼の伝統と技術をより深く理解するとともに、この土地に根付く豊かな文化の奥深さを感じ取ることができました。



食物サンプル制作 — ミニパフェ

 レストランの入り口で見かけるあの食物サンプルを見るたびに、「これらは一体どうやって作られているのだろう?」と、ずっと気になっていました。あまりにもリアルな見た目に、自分でもぜひ作ってみたいという気持ちが湧き上がりました。今回、ようやくその体験をする機会を得ましたが、思っていた以上に難しい作業でした。


 初めて挑戦してみてわかったのは、これは単なる手先の器用さだけでなく、忍耐力と細やかな注意力が求められるということです。形を整えることから色の配合まで、すべての工程が非常に繊細で重要なものでした。先生の丁寧な指導のもと、無事に作品を完成させることができました。


 自分の作った作品を店内に展示されている多彩な食物サンプルと比べると、その精巧さに改めて感嘆せざるを得ませんでした。どの作品もまるで本物の食べ物のようで、とても感心しました。


 今回の食物サンプル制作の体験を通じて、この技術の奥深さをより一層理解するとともに、職人の巧みな技と創造力に対する尊敬の念が深まりました。リアルな食物サンプルは単なる芸術品であるだけでなく、匠の心が結晶したものであり、その背後にある高度な技術に心から感服しました。この伝統工芸への敬意が、より強く胸に刻まれた体験でした。




転写シール陶芸体験 — 自分だけのオリジナル器づくり


 初めて転写シールを使って器を飾る体験をし、とても新鮮で楽しかったです。たくさんのシールデザインが並んでいて、どれにしようか迷ってしまいました。次に、シールを適当な大きさに切り、水に浸して柔らかくなるのを待ちます。シールがだんだん柔らかくなるのを見て、器に貼り付ける準備が整います。


 その後、専用の道具を使ってシールの下の空気を丁寧に押し出し、最後に表面の水滴を優しく拭き取って、シールをしっかり器に密着させます。


絵付けのように絵の技術が必要な装飾方法に比べ、この転写シールの方法はずっと簡単で、私のように絵を描くのがあまり得意でない人にもぴったりです。しかし、簡単だからといって挑戦がないわけではなく、一つひとつの工程を慎重に行わないと、きれいで完璧な仕上がりにはならないのです。



作品が完成した後は、もう一度窯で焼成し、図案を器にしっかりと定着させます。今回の転写シール体験を通じて、新しい陶芸装飾の技法を学べただけでなく、制作過程の楽しさや達成感も味わうことができました。これはシンプルでありながら創造性にあふれた方法で、陶芸の世界に対する新たな理解を深める貴重な経験となりました。



古代の川底の宝探し―陶器の破片からネックレス作りへ

 昼食後、私たちは川辺へ歩いて向かい、古い歴史の痕跡を探す準備をしました。途中で元気に動き回る小さなカニたちを見つけ、旅の楽しみが一層増しました。川の中へ進むにつれて、皆が様々な古い陶器の破片を見つけ始めました。その一つ一つが何百年、何千年も前の歴史を物語っているように感じられました。

 岸に戻ったとき、中野先生が熱心にそれぞれの陶器破片の由来を説明してくださいました。どの時代に属し、どのような背景を持っているかを教えてもらい、これらの陶器の破片が川の中でこれほど長く保存されていることに、驚きと感嘆の気持ちを抱かずにはいられませんでした。まるでこれらの破片が遠い昔の時間を語りかけているかのようでした。



 古い陶器の破片を集め終えた後、私たちは高山に戻り、ネックレス作りを始めました。小林社長が直接指導してくださり、これらの歴史的な破片をどのようにして独自の装飾品へと変えていくかを教えていただきました。制作の過程は想像以上に難しく、特にネックレスの紐の結び方を学ぶのは初めての経験でした。挑戦の連続でしたが、最終的には自分だけのネックレスを無事に完成させることができました。


 この体験は、新しい技術を学んだだけでなく、歴史と創造性を融合させる無限の可能性を感じる貴重な機会となりました。


(レポート③)

陶磁器の鋳型(ちゅうけい)体験

 今日は早朝に中尾山へ行き、波佐見でしか体験できない独特な活動に参加しました。藤田先生がまずこの工芸の歴史を詳しく説明してくださり、一部理解しきれない部分もありましたが、先生の熱意あふれる解説により、これからの制作過程への期待が高まりました。


 活動が始まると、まず石膏の型に自分の好きな模様を刻みました。この作業は非常に集中力が必要で、一筆一筆の力加減が最終製品の質感に大きく影響します。次に、泥漿(どろゆう)を石膏の型に流し入れ、外側の泥漿が徐々に固まるのを待ってから、余分な泥漿を注ぎ出します。この過程には根気が必要ですが、石膏の型を外してカップの形が現れたときの達成感は格別でした。


 作品にはまだ水分が含まれているため、取り扱いは慎重に行わなければなりません。今日完成品を持ち帰ることはできませんでしたが、焼成を経て初めて本当の完成となります。しかし今回の体験を通じて、波佐見陶磁器の独特な魅力と繊細な製作工程を深く実感しました。この時間を通じて伝統工芸に触れ、実践することにより、新たな技術を学んだだけでなく、陶磁器芸術への敬意が一層深まりました。



 陶芸の釉薬(ゆうやく)創作体験陶磁器の鋳型作りを終えた後、すぐに釉薬の創作体験に移りました。今回使用した素材は主に天草陶石で、この陶石は大量生産に適しており、安定した品質を誇るため、私たちの作品の土台として最適です。


 先生の指導のもと、さまざまな色の釉薬の選び方や調合方法を学び、それらを作品の表面に巧みに施していきました。釉薬を塗る工程は技術が求められると同時に、創造性も必要で、一筆一筆の塗り方が仕上がりの色合いや質感に大きく影響します。この体験を通じて、陶芸は単なる技術の表現だけでなく、芸術的な表現でもあることを深く実感しました。


 釉薬創作の過程で、陶磁器作りの繊細さと多様性を感じることができ、職人の努力と知恵が込められた一つ一つの作品をより一層大切に思うようになりました。焼成後に作品がどのような独特の輝きと生命力を見せてくれるのか、とても楽しみです。



 先生が招き猫のような模型を一つ一つ私たちの前に並べると、みんなは自由な発想でその模型に色彩を思い思いに塗り始めました。色の組み合わせや模様のデザインはそれぞれが独特で、個性とスタイルが存分に表れています。目の前に並ぶ唯一無二の作品たちを見て、胸にあふれる達成感と満足感を感じました。




 その後、見た目は簡単そうですが実は挑戦的な伝統的な小さなゲームを行いました。このゲームのルールはとてもシンプルで、手に持った木の棒を前方の木の枠の中に投げ入れるというものです。最初は誰もが簡単にできると思っていましたが、実際に体験してみると、投げる角度や力加減を掴むのが思ったより難しいことに気づきました。何度も挑戦するうちに少しずつコツがわかってきましたが、成功するかどうかは運も少し関わっていました。木の棒が狙いを外して地面に落ちるたびに、みんなから笑い声や驚きの声が上がり、この体験は活動にたくさんの楽しさを加えてくれました。


 手作りそば体験午後は小林社長の指導のもと、そば作りの一連の工程を体験しました。生地をこねるところから麺を切るところまで、一つ一つのステップに挑戦がありました。小林社長が軽やかに手本を見せてくださるのを見て、心の中で尊敬の念が湧きました。社長はまるで何でもできるかのようで、陶器作りもそば作りもお手の物のようでした。


 そば粉から作られるそばは、縄文時代(紀元前14,000年~300年)にまで遡ることができます。現在私たちが食べているそばは、17世紀初頭の江戸時代に登場し、長野県で最初に誕生したと言われています。


 そばの主な材料はそば粉で、そばの食感を追求するためにそば粉と小麦粉の割合が調整されます。そば粉を100%使ったものは「十割そば」と呼ばれ、粘り気がなく噛みごたえが少ない一方で、香りが非常に豊かです。一般的に見られる「二八そば」は、そば粉80%に対して小麦粉20%を混ぜて作られ、小麦粉が麺のつながりを助けるため、食感が弾力のあるもちもちとしたものになります。



 蕎麦の生地はピザの生地とは異なり、とても強い弾力性を持っているため、こねるのにかなりの力が必要です。手の中の生地は次第に弾力を増していきますが、その分扱いも難しくなります。麺を切る際には、均一な太さに仕上げるために繊細な包丁さばきが求められます。すべての準備が整ったら、切った麺を沸騰したお湯に入れ、わずか1分で蕎麦が茹で上がります。自分で作った麺が器に盛られると、その蕎麦は特別に美味しく感じられ、余韻が残る味わいでした。


 地元の方々との交流活動の最後には、高山に戻り、この3日間私たちを指導してくださった先生方と深い交流を持ちました。この貴重な時間の中で、波佐見の独特な魅力を改めて実感できただけでなく、陶器の歴史や製作技術についても多くのことを学びました。先生方は皆、熱心に知識や経験を共有してくださり、この土地の文化や工芸に対する理解がより一層深まりました。




 今回の交流は、知識に満ちた貴重な旅となりました。先生方との誠実な対話を通じて、波佐見陶芸に対する彼らの熱い想いと揺るぎないこだわりを感じることができ、この工芸に込められた物語や精神をより深く理解することができました。


 この活動を通じて、技術の向上だけでなく、波佐見陶器に対する深い敬意も得ることができました。一つひとつの細部や物語が私たちの大切な思い出となり、この経験を特別で充実したものにしてくれました。


長崎短期大学 TSAI MENG CHIEH

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